膝のスポーツ障害

膝のスポーツ障害とは?

 スポーツ障害とは、膝に繰り返し力が加わり続けた結果、オーバーユース(使い過ぎ)が原因で起こるケガです。 特定の部位を使いすぎて疲労がたまり、筋肉などに炎症が起きて痛みが発生します。疲労骨折、剥離骨折などもスポーツ障害に含まれます。

運動による負荷で組織が一部損傷すると、すぐに新しい細胞組織が作られて修復され、以前より強く生まれ変わります。しかし体を使いすぎると、組織を壊すスピードが修復するスピードよりも早くなり、それが原因で大きなトラブルが起こります。これがオーバーユースです。

現在ではスポーツの世界でも科学的な理論に基づいた練習法が中心となり、十分な休息や体のケア、練習環境の整備、フォームの改善などによって膝の酷使によるケガは昔ほど多くはなくなりました。それでも膝を使いすぎることで膝を痛めるケースは度々見られます。

痛みの程度により重症度が異なります。

軽症  スポーツは可能であるが、その後痛む。

中等症 スポーツのプレーには支障がないが、途中と後で痛む。

重症  常に痛み、プレーに支障が出る。

最重症  腱や靱帯の断裂。

原因と病態

オ ーバートレーニングにより生じるため、使い過ぎ症候群ともよばれます。 靭帯や腱が骨に停止するところでは、筋肉のはたらきによるストレスが集中しやすく、組織の小さな損傷が生じます。また、靭帯が骨のすぐ上を通るところでは、膝の曲げ伸ばしによって靭帯と骨の摩擦が生じて炎症の原因になります。

 ジャンプ競技に多いもの

 膝を酷使することで、膝を曲げる動作や歩いたり、走ったりする際に痛みが出るようになります。原因は様々で次のようなものがあります。その際、圧痛の場所を調べることで、下記の症状の判断基準にします。

①②③④は、ジャンプなどの跳躍や屈伸で膝に負担がかかることで発生します。

②ラーセン病、④オスグッド病は、成長期にみられます。

大腿四頭筋腱付着部炎・・・大腿四頭筋の付着部で炎症が起きてしまいます。

ラーセン病・・・・膝蓋骨の下に膝蓋靭帯の牽引力が加わり、痛みがでます。

ジャンパー膝・・・膝蓋靭帯そのものに負担がかかり、痛みが発生します。

オスグッド病・・・膝蓋靭帯の付着部に負担がかかり、骨が盛り上がります。

その他の膝の障害として半月板損傷、(前十字・後十字)靭帯損傷、タナ障害、膝関節水腫、離断性骨軟骨炎、などがあります。

 走ることがメインの競技に多いもの、膝を捻って起こる痛み

 膝を酷使することや、捻ってしまうことで、膝を曲げる動作や歩いたり、走ったりする際に痛みが出るようになります。原因は様々で次のようなものがあります。その際、圧痛の場所を調べることで、下記の症状の判断基準にします。

⑤⑥は、膝を捻ったり、側面からの強い衝撃の際に発生します。

⑦⑧⑨は、ランニングなど膝の屈伸運動を繰り返す際に発生します。

⑤⑥側副靭帯損傷・・・膝を過剰に捻ったり、横から強い力を受けた際に損傷します。

腸脛靭帯付着部炎・・・ランニングの繰り返しで腸脛靭帯の付着部に痛みがます。

鵞足炎・・・過剰なスポーツや登山で膝の内側の筋肉の付着部に炎症を起こします。

腸脛靭帯炎・・・ランニングの繰り返しで、腸脛靭帯が膝の骨と擦れ痛みが出ます。

また、選手側の問題としては、筋力不足、筋力のアンバランス、骨の成長と筋の伸びとのアンバランス、からだの柔軟性不足、アライメント不良などが挙げられます。練習や環境の問題としては、オーバートレーニング、選手の体力や技術に合わない練習、不適切な靴、硬すぎたり軟らかすぎる練習場などが挙げられます。

一般的な治療方法

 運動中に突発的なケガが発生したら、早急に適切な処置を行うことが大切です。処置が早ければ早いほど、症状の悪化を最小限に抑え、その後の回復を早めることができます。

打撲、捻挫、骨折などの突発的な怪我は、多くの場合、急性の関節炎を伴います。炎症が急激に広がるため、膝が腫れあがって熱をもち、急で激しい痛みを伴います。こうした症状が見られる場合、すぐに運動を中止し、膝を動かさず体重がかからない状態で休ませ、氷のう(アイスバッグ)や氷を入れたビニール袋で、患部とその周辺を冷やすことが重要です。スポーツの現場では、「RICE」という応急処置法が基本になっています。RICEとは4つの英語の頭文字をとった言葉で、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上) です。